イスマーイール派の人々

カラチでイスマーイール派の住民を乗せた朝の通勤バスが、3台のバイクに分乗した6人の武装集団に襲われ、テレビの報道によると46人が死亡、13人が負傷したと。

パキスタンでは国民の97%がイスラーム教徒であり、大多数がスンニー派である。国内の宗教統計に関する公式数字では、97%のうちの10~20%がシーア派であるとされている。10~20%などとは…なんとまぁ大雑把な数字かと、呆れるが。
イスマーイール派シーア派の一分派で、パキスタン国内には6~700万人の信者がいると言われている。
ただし、一部スンニー派の人々には、「イスマーイール派は異端であり、イスラーム教徒とは言えない」とする意見もある。
イスマーイール派は、宗教的寛容と女性の社会進出を謳っていること。飲酒を否定しない、断食をしない人が大半であることなど、戒律の緩いことが異端と言われる因かもしれない。

GB州(旧)北方地域の州都ギルギットではシーア派スンニー派イスマーイール派の人口は拮抗している。
約40年前には日々、食べることにも事欠いた極貧の中にあったイスマーイール派の人々が、カリフ(イスマーイール派における教祖)の生活指導によって、女性教育の充実から現在ではパキスタン随一の識字率を得ることになった現実と、相互扶助の徹底などから貧しさを脱却。いまやパキスタン政府もモデルとする国内最大のNGOに成長し、幅広い分野で活動している。
また、女性の教育に力を入れた結果、いまでは国内随一の高い識字率(98%)を誇り、共稼ぎが普通の生活であるために家庭への収入は多く、「良い教育―>良い職場―>高収入―>子供たちへの充分な教育―>さらに高収入の得られる職場へ」というサイクルの生き方をしている。
優秀過ぎて目立っているので、原理主義的なイスラーム教徒、過激派には嫉妬も受けやすい。
今回の襲撃に対しては、TTPタリバーン運動の一グループが犯行声明を出している。