大物コックさまざま

オバハンの経営する日本食レストラン「きまぐれ亭」には過去何人かのコックが居る。今いる若いコックはオバハンより上手にほうれん草の胡麻和えを作り、てんぷらを揚げる。 この間まで居て、スタッフ同士のケンカで辞めた海軍退役のコックも素晴らしい腕の持ち主だった。不便な軍艦の中で厨房を仕切っていただけのことはあって、水や材料を無駄に使わないこと! 狭い厨房の中で働いていたせいかデカイ身体にもかかわらず細々と無駄のない動き。そして将校の食事を賄ってたのでパキスタン料理は絶品だった。
何よりも最高なのは、オバハンがムチャクチャなことをほざいても、「イエッサー、イエス・マダム!」と即答、命令に100%従順なことだ。

先般の大物コックなどは、この30年間の中で超最低だったが、一昨日、臨時(試しに)来てもらった人はパキスタンにもこんなコックさんがいるのか?と感動するくらい、これまた最高だった! 先般の3日間コックとは大違い、「弘法 筆を選ばず!」 ウチのへぼいオーブンで作ったイタリアン料理は絶品。クリームとソースのやさしい風合い、美味しいこと! 日本ででも、あれだけの味には出会えないと思わせた。 最後には洗い物も全部、自分で終え、床の掃き掃除までして、他にすることは?と確認して帰って行ったから、どこぞの大物とは月とすっぽん! 日本では当たり前のことが当地では当たり前ではないので、この礼儀正しく、何もかも弁えたコックさんにオバハンは、ただただ口をあんぐり開けていた。
他人に厳しく自分に超甘いオバハンが褒めるのだから、その最高ぶりも推して知って欲しい。普段は某国大使館員宅で働いているコックさんだが、週末だけは呼ばれた大使館や欧米人の個人宅パーティへ出張して料理を作るのだという。なるほど、合理的な外国人たちの生活様式だ。

つい先般の大物コックで懲りていたオバハンは、ヨーロッパ人の間で評判の「このコック」に期待せず、だから調理をまったく見ていなかった。あんなに美味しい料理を作る人になら、最初からベッタリとくっ付いて料理を習うのだったと、残念でならない。今後は月一で来てもらい、教えを請わなくっちゃ~~