ムシャラフ(政府)の戦略

先週末から北西辺境州、ペシャワールの南では軍(治安部隊)とイスラーム武装勢力が大々的な衝突を続けていたが、政府発表ではコハット・トンネル(日本のODAで作られた)を軍が昨日、掌握したと伝えている。このオペレーションでは、ペシャワールとラホール間のインダス・ハイウェーは封鎖されていた。しかし、軍がトンネルを奪回したからと言って、安心して走れるものでもなさそうだ…(トンネルから100kmばかり南、バンヌーの学校で過激派の立て篭もり事件あり。すでに人質は解放され解決したようだが、上記との関連は不明)

ペシャワールの北でも、仏教遺跡の広がるスワット地方で軍がオペレーションを展開、 外国人ばかりか外部の者はパキスタン人でさえもスワットには入れなくなって久しい。早い話が今のところは北西辺境州に限られているが、パキスタン国内は内戦状態だと感じるパキスタン人も増えている。

ムシャラフは1週間におよぶヨーロッパ訪問で、自分とパキスタンの立場を説明。そろそろ帰って来るが、国内では政府とイスラーム過激派とのあからさまな衝突。エネルギー問題など様々な火種が燻っている。
特に電気やガスなどは全国民の生活に直接振りかかる問題で、ないがしろには出来まい…と思っていたら、「政府がブット元首相(PPP)に対する国民の同情や関心を、電気やガス、主食の不足へ振り向けるための古典的な手法だ」と、知り合いの退役軍人にバッサリ切って捨てられた。

確かにブットが殺された直後からの電気、ガス、水、主食不足。国民は日々そればかりを追いかけ、考えることになってブットに対する関心どころではない。ムシャラフが総選挙に勝てるとふめば、投票日を日延べしないだろうとは退役准将の話で、なるほど~~と、肯いてしまったオバハン。