進むタリバーン化

5日間、ハプニングありあり書き切れないほど満載、久々にスリルとイライラのパキスタンを満喫して来た。
今冬から中国がカラコルム・ハイウエーの拡張工事をしている。2月の通過でも時間はかかったが、カラコルム・ハイウエーだけではなくイスラマからペシャワールへの幹線道路も工事中で、首都から外へ出ればどこを走っても時間のかかること、甚だしい。

カラコルム・ハイウエーの道路状況は2ヶ月前より悪くて、平均して普段の25~30%増しの時間がかかる。警察の検問所も再び増え、この上に雨でも降ればさらに時間がかかるのだろう。治安の悪化で強盗でも増えたのか、一般車への夜間の警察車輌による伴走警護も以前に比べると強化されている。

おまけに北西辺境州へ入ると、今まで以上に町を歩く女性の姿は少なく、スワット地域と山を一つ隔てたベシャムの町では髭の長い男が目立つようになった。明らかにスワット地域の影響で、外見のタリバーン化だ。この分ではコーヒスターン地域のタリバーン化も可能性が高くなった。 イスラマバードから車で4時間も走れば町には女性の姿がなくなり、むさい男たちばかりが行き来しているのを車の中から目にするだけで肩に力が入ってしまう。

一部の報道によると、「イスラーム武装勢力が首都のわずか100km余り北へまで支配を広げ、地元住民は首都などに避難を始めた」と。 う~~む…なんだかおどろおどろしい書き方だなぁ~とは思うが、北西辺境州の今後には目が離せないのは確かだ。 首都の100kmにまで武装勢力が迫っているが、「パキスタン政府はこうした事態に対する反発や懸念の声が小さく、パキスタン文民および軍人の最高レベルに届いていない」と、クリントン国務長官は危機感を示したというが… こうした事態になってしまったのは単にパキスタンだけの責任ではない。
また政府関係者には危機感がないのではなく… 要人たちは日々、車輌ナンバーを変えて走っているのだから、危機感は充分にある。
ただ、私腹を肥やすことにしか興味がない指導者にしか恵まれず、アメリカの過剰な内政干渉などで手が打てない状況にまで陥ってしまったパキスタンの不幸。

金曜礼拝のきょう、近くのラール・マスジッドでは夏の陽射しを遮るべく、礼拝用の天幕が幾つも張られ相当数は集まっているが、騒ぎもなく3週続けて普通の礼拝風景だった。まぁ、仮釈放中に騒ぎを起こすほど愚かではあるまいが、大衆の暴発は怖い。