イスラーム法(シャリア)

1年9ヶ月前に世界中の耳目を集めたラール・マスジッド(赤い色のモスク)の指導者が昨夕、仮釈放されマスジッドへ戻って来た。2年近くも収監されていたとは見えない(痩せても居なければ、顔色も悪くなかった)健常な様子で、万を超す支持者たちに揉まれ担ぎ上げられ凱旋将軍のようだ。 彼の27もの罪状のうち、3つほどについては無罪が確定とある。しかし多くの人命を損なうことになった原因を作ったことや、一例を挙げるなら中国人への拉致、暴力(失明と脊椎損傷など)、焼き討ちなど等だけでも、指導者として教唆の罪は大きいだろう。 
ムシャラフ前政権に対するあて付けのようにも感じる今回の異例な仮釈放には、納得が行かない。近在に暮らす住民としての迷惑、ビジネス損失など個人的に被った額は如何ほどになるのであろうか?

仮釈放に際し、TVのスピーチで凱旋将軍サマは「スワット地区でのイスラーム法(シャリア)導入を歓迎する」と。 また昨夜は深夜まで原理主義者どもが集い、ざわめきが途切れなかったし、きょうの金曜礼拝に至っては気合の入った説教が流れた。 首都のど真ん中でイスラーム法(シャリア)の導入を声高に騒ぐ狂信派の集う場所が再び出来るのかと想うだけでも、鬱陶しい。

「シャリア」とはイスラーム教に基づき、個人や国家の規範など等、幅広い法体系と言われている。イスラーム教の開祖、預言者ムハンマッドはアッラー(神)の啓示を受けイスラーム共同体を営み、原理主義者たちは、その頃の教えの原点に立ち戻り政治や社会を正そうとしているのだが… 時代に合わない事柄も多い。