20年

何が20年なのか?
今の家に暮らして20年になる。その間、毎年2月半ばから3月にかけて、隣家の塀際に植えられている数本の杏らしき木に花が咲く。パキスタン北方のギルギットやフンザで見かける何種類もの華やかな杏の花とは異なるし、かと言って梅の花のように花弁が厚くはないしーーと、いつも頭を悩ます存在だった隣の梅らしきものに、20年で初めての実が付いた。
通年、イスラマバードの3月は暑くて30度を軽く超す。その暑さのせいなのかなんなのか、イスラマバードで梅や杏の木に実がなったのを見たことはない。だが、今年は5月下旬になるというのに、まだ30度前半の気温で涼しい。
桃栗3年柿8年、柚の大馬鹿18年というらしいが、隣家の木が小さな実を付け始め、この2ヶ月、日増しにふくらんで来て、今では部分的に小豆色に変わって来て初めて納得がいった。ツルツルした表皮の果実、子供の頃に食べた懐かしいスモモ。
昨日の風でたくさんの実が落ち、地面で割れてしまっていたが、もしかしたら6月初めには口に入るかもーーと、淡い夢を隣りのスモモさんに対して抱いている。