燃料不足では、経済活動が成り立たない

今年も残り少なくなって年中で一番、陽の短い冬至まで後2日だ。 晴れた日の戸外は23℃もあって快適だが、朝晩は2℃まで下がるようになったし、石造りの家・室内は昼間も冷える。 だが部屋にはバンコクからやって来た寒がりの犬がいるので、今冬は(やせ我慢をせずに)時々だがヒーターを使わせて頂いている。お犬サマのお蔭で暖かな冬が過ごせそう。

パキスタンではガソリン、軽油、ガスなどの不足が年々、深刻化。 寒さの増す11月からガスの供給を家庭のみにするという政府の方針は少し緩和され、1月からの2ヶ月間だけガス(CNG)の供給を(産業界へ)停止すると表明。 
パキスタンで一番の穀倉地帯パンジャーブ州には総人口の80%、約1億4500万人もが暮らし、農業生産・各種産業の殆どはこの州に占められている。 近年のパキスタンでは夏場に20時間も電気がなく、冬場の今も地方では似たような状況であるし、今冬はガスも産業界への供給が停められるというのであれば、工場はまともに稼働もできず失業者も増えるばかりだ。 
ここ3年、パキスタンの基幹産業である繊維産業界からは人件費が安く、かつ電力事情も安定しているとしてバングラデッシュへの流出が多かった。

おかげでバザールへ行っても綿布の値上がり幅は大きく、少し良い物はインドネシアなどからの輸入物だ。数年前まではアフガンとパキスタン国境の行き来が自由で密貿易も盛ん、ロシア製の綿布などがバザールでも安かったが、いまは生鮮食料品を初め何でも高い。    
しかし、3ヶ月前まで2年余もエチオピア赴任をしていた娘などは、「パキスタンには何でもあって治安も良い」と言うが… そこは比較の問題で… 長年暮らしているオバハンには良い面が見えなくなっているようだ。

ガスの供給制限は、冬を迎えて需要が高まる家庭への供給を優先するための措置だが、主要産業の繊維業界などからは一方的だとの声も上がっていると報じられている。 全パキスタン繊維工場協会によれば、主要生産地の北部パンジャーブ州の繊維工場へのエネルギー供給状況は現在、天然ガスが1日当たり8時間、電気が同4~6時間となっており、工場が1日1シフトしか稼働できないため、天然ガスが供給停止となれば繊維産業全体で1ヶ月当たり12億ドル(約1243億円)相当の輸出が失われると。

新政権になって約半年、パキスタンは経済成長を軌道に乗せるために数々の計画を打ち出しているが、よぉ~~~く見れば、首相を初めとする政権幹部が潤う大型インフラ整備計画が主となっているようだ・・・  政府はエネルギーや輸送、水資源や教育など広範囲にわたる38件のインフラ整備計画を承認したというが、まず最優先されるべきは電力確保であろう。電力がないと各種工事も進まないからな…