正義を標ぼうする国アメリカ

例年より4週間近くもダラダラと長引いたモンスーンが、ようやく明けた。つい先日までは昼夕と2回の水シャワーが必要だった蒸し暑さから解放され、6ヶ月ぶりにお湯でシャワーをした。湯上りの爽やかさが身に染みる、乾燥した空気が快い。
ただ、モンスーンは上がったものの、南部(シンド州ほぼ全域と一部パンジャーブ州)での洪水被害は依然として続いている。 昨夏、自分たちの畑に被害が及ばないようにと… 灌漑用水路堤を他村(州)の方へ切り落とした人たちの多くが今夏は被災者になってしまったという悲劇。  
過日、国連は昨年に続いて大規模な洪水に見舞われているパキスタンへの緊急支援として合計約274億円の拠出を各国に呼びかけ、日本は約7億6千万円の緊急無償資金協力を実施すると。東日本大震災で復興支援金が必要な日本としては、7億6千億円も惜しいくらいだろう。
昨夏の大洪水では被災者が2000万人、主力産業である農業に約3兆6000億円規模の損害が出たとされている。 それらの復興もならぬうちの大洪水で、野菜を初めとする諸物価の上昇に歯止めが効かない。今週値下がりした(断食中の高騰から、普段の値段に戻った)のは鶏肉くらいのものだ。

いつも温厚なギラニ首相が、過日のアメリカ発言(アフガニスタン、反政府武装勢力タリバーン一派、ハッカニグループをパキスタン政府が支援している)に、「アメリカは我々の長年の努力を全て否定することになる」との声明を発表した。
ラニ首相だけではなく、多くのパキスタン人たちも同じ思いを過日のアメリカ発言には持ったものだ。なにしろ、オサマ・ビンラディン911同時多発テロの首謀者でないことを知っていながら、アフガンを空爆した。またイラク大量破壊兵器がないことを知っていながらイラク空爆に至った。常に「捏造」を声高く言い募って自国の利益のためには他国を誹謗するのが『正義を標ぼうするアメリカ』の常套手段だからな…