避難民160万人

5月も下旬になろうとしているが、月初めには「パキスタン空爆」の大見出しを新聞やネットで見たという何人もからお見舞いを頂いた。
当地(パキスタン)に常駐していない報道機関の書く記事の内容は、現地事情を充分に把握しているとも思えず、読むたびに違和感を持つ。その点、各新聞社に記事を配信している通信社から記事を買っている地方紙(例:京都新聞など)の方が、駐在員が当地に居ない分を「信頼できる現地取材記事」に頼っているから読んでいても納得ができる。
特に当地に駐在していないS紙のパキスタンに関する記事は、ワシントン発も多くてアメリカの言い分のみが報道される傾向にある。また、インドに駐在してインドからの抜粋記事を中心に報道するM紙、前述のS紙は反パキスタン的な記事になる傾向にある。読む側が、こうした新聞社(記者)のポジションを把握していないと、現地の実状というものは読み切れない。

北西辺境州におけるイスラーム武装グループに対する掃討作戦は、開始から3週間になった。連日のようにTVで流れる死者は100人を超える単位。パキスタン軍が本気になれば武装勢力を叩くことは難しくない。しかし国民感情を勘案すると、本気になれないところが厳しい。しかし、今回の掃討作戦には「力」が入っているのも事実だ。 アメリカからの圧力のほどが分かるというものだ。

武装勢力掃討地区からの避難民が多いのは確かだが、政府発表の160万人はないと思うが… いずれにせよ大変な事柄だ。アメリカは避難民に対して約1億ドル(100億円)からの人道支援を実施すると発表し、食糧援助などに充てるという。有難い話には違いないが、素直に喜べないところが悲しい。

パキスタン国内でも政府閣僚は給料の1か月分を、最末端の兵士たちは1日分の給料を避難民への支援として出すなど、役人たちは応分の支援金を払うようだ。当然、国民に対しても政府は協力を呼びかけている。が、ザルダリ大統領サマの陣頭指揮では気勢が殺がれること甚だしいとは巷の話。