良い子の顔の陰で…

ムシャラフの指名を受け2007年11月に、陸軍参謀長に就任していたキヤニ参謀長の去就がここ1ヶ月あまり、取り沙汰されていた。 キヤニ参謀長自身は、「後進にもチャンスを…」と、潔い態度で引退表明をしていたので、単細胞なオバハンなどは「権力に執着しないのか!」と、感動したものだ。

年初のニューズウィークなどにはパキスタンを握る(世界にとって…だったかな)重要人物として、キヤニ参謀長が紹介されていた(ザルダリ大統領やギラニ首相は紹介されず)  キヤニ参謀長は原理原則に忠実、かつ早朝から世界情勢などの勉強にも勤しみ、現職について3年近いが汚職の噂も今のところ聞こえて来ないし、パキスタン国家に対してはキヤニ参謀長以上に忠誠を尽くす人はないとまで、国民に認められている。またメディアの評判も良い。 引退されたらパキスタンがどうなるのか判らない昨今、危惧した人は多かったことと思うから、その再任(延長3年)が決まったのはパキスタンという国にとっては喜ばしいことかも。
だから3日ばかり前に、ギラニ首相がキヤニ陸軍参謀長を「再任する」と異例の早期指名をしたのには、パキスタンを取り巻く諸般の状況があった。その中で最も重要なのは、アフガニスタンの安定にはパキスタン軍部の協力が必要と見たアメリカの意向であったろう。


先の20日から、カーブルでアフガニスタンの今後について検討する「アフガン復興国際会議」が開催されていた。日本も岡田外相が出席し、アフガンの治安向上、イスラーム戦士の社会復帰などに大層な支援金を出すようで、日本はアメリカに次ぐ第2のアフガン支援国として、5年間で7000億円近い支援金を出すことが決まっている。  しかし… 良い子の顔をしたアメリカ主導のアフガン復興支援国際会議の陰で、パキスタン北西辺境州では何が起こっているか??? 

先般、ペシャワールの知り合い(日本ともビジネスをしている、当地の基準では金持ちたち)3人がイスラマバードまでやって来て、長々と打ち合わせをしていたが、遠目から見ていても雰囲気が異様に暗い。
後で聞いたところによれば、北西辺境州に暮らす金のある住民たちは居竦み状態だと。 「武装勢力側(タリバーン)からは協力費何万ルピーとか何十万ルピーを出さないと家族を殺す(かちこむと)脅迫状が届き、家族を守るために言われたようにタリバーンへ協力費を出せば、数日後には治安警察がやって来て、タリバーンへ協力したと家族の中の男たちは警察へ引っ張られ、拷問を受ける」
武装勢力と官憲が裏で手を組んでいるという単純な構造ではないと思える、アメリカが裏で双方を操って混乱を助長しているとしか思えない。イスラマバードへ家族共々、逃げて来たいが逃げれば後ろ暗いところがあるとして官憲に付回され、普通の生活は出来ない」と。

アメリカは、北西辺境州になんとしても駐留しようとし、現地で混乱の種を熱心に作っている。良い子の顔をした陰でのアメリカの仕打ち… 住民の反感をますます募らせているだけなのに。