パキスタンの大統領権限

秋晴れのセカンド・サマーが来ず、9月に入って1週間もたつというのに、まだ雲の多い日が続いている。 通年より遅いモンスーン明けらしい雨に一昨日からなったが、秋から冬への変わり目かと思える冷え冷えとした雨になり、暑さに慣れた身体には肌寒い。ザルダリが大統領になったことを雨までが知っているのか? 
国民の多くは「ザルダリはムシャラフ大統領の倍は悪い」と、顔をしかめる。

かってのパキスタンでは首相が政治の実権を持ち、大統領は象徴的存在だった。 しかしムシャラフが大統領になって憲法を改正。大統領に強大な権限を集中させた。首相解任権のほか陸軍参謀長、最高裁長官の指名・解任権、国会下院解散権など。
ムシャラフ辞任までは、この大統領権限を従来のものに戻そうとする働きが上院、下院で大きかったのに、ザルダリは自分が大統領になってしまったら、大統領権限をそのままにしておくと宣言。

ここのところギラニ首相の顔が険しい。民主主義を理解し、常に人民のためにと考える(考えて来た)ギラニだから、PPPがその地位確率のためにとはいえ、大統領の権限をそのままにしておくとか、独裁的な方向へ走っている今の状況には憂いが深いのか。
逼迫した経済、そして国民のために多大の経済・食料援助をアメリカから得る見返りに、ブッシュの言う対テロ戦争に全面的に協力することになってしまったパキスタン。背に腹は変えられないとは言え、国を率いるギラニにとっては辛いことだろう。

新聞の報道を毎朝ザッと見るだけでも、各地の戦闘や自爆テロでは毎日、数10人~100人近くもが(北西辺境州で)亡くなっている。 断食月間にもかかわらず、この激しさなら、断食明けの10月になれば、どんなに酷くなるのだろうか。 アメリカの特殊部隊までが入り込み、毎日の戦闘報道と共に反米、反政府感情は増して行く。