米軍のイラクから、アフガンへのシフト

パキスタンへ移住して約30年、昨年からの治安関係(特に北西辺境州)では今までになく悪く、今後よくなる見通しも余りない。タリバーン武装勢力)などとの和平交渉が決裂した今月に入ってからは、北西辺境州(ペシャワール)に住む人たちからの話に、ますますパキスタンの将来は暗い。

特に、ここ何日間かのニュースを見ていれば、アメリカ軍のイラクからの撤退(削減)、アフガニスタンへの増派は確定。米大統領選で民主党の候補者に確定しているオバマは、「自分が大統領に就任したなら、初日にイラク戦争を終わらせ、アフガンには2個戦闘旅団を増派、旧支配勢力タリバンと国際テロ組織アル・カーイダ掃滅を強化。アルカイダが潜伏しているとされるパキスタンの部族地域に米軍の力を集中する」と明言。 オバマは年初より、アフガンとパキスタン国境沿いへの駐留・戦闘には意欲を示していたし、戦線の拡大は免れないようだ。

アメリカは、アフガンとパキスタンの国境沿いで絨毯爆撃を予定していると、当地でも報道されている。
そして、それらの戦線拡大を裏付ける怖い話がある。どういう形で地域住民への通達があったのかは知らない。しかし今回パキスタン軍の駐屯地に隣接するペシャワール市西端の高・中級住宅地の住民には、「戦線が拡大する可能性がある。直ぐにとは言わないがパンジャーブ州などへの移住を考えて欲しい」と話があった由。もちろん住民は大いに困惑をしている。 オバハン自身は確認していないが、国境から約50kmも離れたペシャワール西端の高・中級住宅地からは住民が歯抜け状態になりつつあり、その地域では家賃が大きく下がっていると聞く。

アメリカによる戦線が拡大されたなら反米行動、反米感情は当然増すだろう。イギリス大使館だったか、アメリカ大使館だったかは規模の縮小に入り始め、現地スタッフ100人の解雇が伝わっている。大使館員をも3分の1に削減の予定と聞けば、欧米諸国がアメリカのアフガン・パキスタン戦線を真剣に捉えていることが分かる。

パキスタンの新政権は単に和平交渉の失敗だけではなく、アメリカの力に屈したのだろう。世界のどこがアメリカに正面から対抗できるというのか? こうなるとテロという形でしか反撃できないとオバハンですら思ってしまう。 30年間も置いて頂いたパキスタンだが、状況によっては(歳も歳だし)パキスタンを離れることも視野に入れなくては…と、先の見えない宙ぶらりんな状況に心が揺れ、無気力感も強まり、何をするにも力が入らない。忙しければ、こんな気分にもならないと思うが、治安の悪化でお客様も減少、暇を持て余している。この重苦しい気分を打開するには、なんぞ新しいことでも始め必死にならねば…とも思うが、外へも出にくい状況でイマイチ、身動きもし難い。(など等で落ち込み、ブログ更新をサボっています。ご心配下さった方々、有難う存じます)

オバマは近々、中東や欧州歴訪を予定していると報道されている。この分では駆け足でアフガンへも立ち寄るのだろう…。アフガンの南部、東部では国際治安支援部隊(ISAF)の米兵がタリバーンと交戦死亡、ここ3年で最悪の事態となっている。今年に入ってISAFの死者数はイラク駐留多国籍軍の死者数を上回り、先日は米兵死者は15人とこれまでにない被害となっている。オバハン自身は米軍がイラクからの撤退するだけではなく、アフガンからも撤退してして欲しいと願うのに… 今のところは、ひたすら戦線拡大らしい…