週末の宿題

「はぁ~宿題がイッパイなの、ユーウツ!」と、大きなため息をつく息子の次女、中1年生。好きなことには熱中するが、決まり事は得意でない。出来るだけ普通の真面目な、常識ある人間に育てようとしている息子夫婦、その方針にはオバハンンも逆らえない。  
「嫌なら宿題など止めれば良いのよ」と、オバハンは言いたい。だから中1次女の顔を見ながら最大限の努力で口をつぐむ。オバハンの父親は「何事も自分で決めなさい」と、好きなようにさせていてくれたから、小中学時代のオバハンは宿題などをして行かなかったクラスの筆頭だ。  
忘れもしない中学2年生の英語の時間、宿題をして行かなかった生徒10人くらいが教壇の上に立たされた。授業半ばで、「次からきちんと宿題をして来る者は席に戻ってヨシ」と言われたが、オバハンは宿題をして行くという約束が出来ず、最後まで教壇の上で席へは戻れなかった。授業が終わって職員室へ呼ばれ、さらに怒られ続けたが、約束の出来ないオバハンは、放課後まで職員室に残され、立たされ続けた。「そんなに強情では嫁に行けないゾ!」と言う担任と、英語の先生に向かって、「アタシは嫁には行きません、ウチは養子さんを貰います」と言って絶句され、親が呼び出しを喰らった。放課後まで残され職員室に立たせておくなど、今なら「イジメ」とでも言うべき行為だが、「約束の出来ないことは約束できない!」と言う、単純明快な論理がどうして解ってもらえないのかと、60年以上たった今でも時々思い出す。   
中3になる息子の長女は勉強が良く出来る。親が呼び出しをくらった話を次女には内緒でしたら、「どうして? 普通に宿題をして行けば良いだけでしょう?どうして出来ないの?」と簡単に言われてしまった。オバハンは子供の頃から、その普通が出来ず、いまも普通から少しズレたままだ。そして、未だに英語は大嫌いだ。