パキスタンは混とん

6月下旬から1ヶ月間の断食、続いて9日間もの断食明け祝日、8月前半からは現政権の退陣を求めてのデモがラホールやペシャワールからも続々と首都へ到着。大統領官邸前広場では座り込みによる集会が続き、2ヶ月にも及ぶ正常ではない市民生活は経済にもダメージを与えている。市場に入ってくる生鮮食料品は品薄で高騰し、対ドルの換算率も下落している。

2013年5月の総選挙で圧勝し政権の座についたシャリフ首相は、選挙に不正があったとして抗議を受けている。
選挙不正は確かに悪い。とはいえザルダリ政権は自分の懐に取り込むのに熱心で、国民には「我慢」を強いるだけの酷い政権だった。オバハンの目から見ればザルダリの率いていたPPPパキスタン人民党政権から比べれば何もかもが随分マシに見えるシャリフ政権だ。

オバハンの家は大統領官邸前広場に近い場所にあって、毎晩の集会の様子が聞こえる。真夏なのに何度も降り注いだ夜中の冷たい豪雨、雨に打たれながらも整然と抗議を続けるカドリ師の率いる宗教政党、人民運動(PAT)は本当に凄い。その整然たる行動には1年半前からオバハンは敬意を表している。  そしてお祭り騒ぎで浮かれて見えるイムランカーン(元クリケットのスター選手)に率いられる正義運動(PTI)。  シャリフ首相の退陣を求め野党下院議員34人も1週間前に辞任している。

デモは、この数日間やや中だるみの感じもあったが、一昨日の夜は激しくて窓を閉めないとうるさくて眠れないくらいだっだ。平日の集会は人びとの仕事が終わる夕暮れ方から朝4時、未明の礼拝が始まるまで続くのが通例だが、昨夜は週末のせいか激しい抗議活動になり、ついに夜10時過ぎから銃弾の音が始まった。実弾は撃たれなかったようだが、それでも500人以上の負傷者が出たと伝えられている。 

衝突は首都だけではなく、カラチやラホールなどの都市でも同時多発的に起きていると伝えられているから、ここ数日、予断を許さない状況だ。
3ヶ月くらい前だったか、現政権に対するラホールでの市民による抗議行動を見ていて、シャリフ首相の政権は倒れる…と感じたものだが、本当にそうなりそうだ。