脱いだ…

ムシャラフはついに、「自分の肌」とも言えるような陸軍参謀総長の制服を脱いだ。
「脱ぐ」とアナウンスがあった日のムシャラフは、とっても明るくて機嫌が良かったし、饒舌でもあった。非常事態宣言を国民に説明した日のムシャラフとは別人のようだ。
非常事態宣言をした日の緊張ぶり、操り人形のような迫力のなさ、手のふるえは一体なんだったのか? 瑣末な疑問だが、未だにオバハンには気になってしょうがない。

本日は朝から陸軍参謀総長の交代式を放映している。ついに指揮棒がキアニ副参謀長に渡った。これで明日、ムシャラフが大統領2期目の宣誓を済ませれば、宣誓とともに軍籍を離脱するが、陸軍特殊部隊による身辺警備は受け続けることになっている。ともあれこれで約8年間余も続いた軍支配の形が終わることになる。形の上での軍事政権は終わったが、だからといって通常の文民政権になったとも言い難いから、これからどうなるのか?

パキスタン軍には勇猛果敢なパシュトーン人が多い。しかし、キアニもムシャラフパンジャーブ州出身。キアニはムシャラフの股肱の臣というから、当面は同じ路線を歩むのだろうな…  
パシュトーン出身の軍人たちからすれば、大いに路線がズレるところなのだろう…

過日、アメリカから特使がやって来た。一部では、「子どものお使い」みたいだと酷評を受けたが、ムシャラフパキスタン軍?)とは数々の密約を交わすためのお土産も持参したらしい。
密約の部分は知らない。しかし、お土産の中にはアフガニスタンと国境を接する部族地域に米陸軍部隊を駐屯させ、パキスタン北西辺境州兵の訓練に当たるというのがあると。
何人のアメリカ人がパキスタンへ来るのかは知らない。が、パキスタン国内での米軍の立場が飛躍的に高まるのは確かだろう。911同時テロから1年間くらいは空港やイスラマの街中で態度のデカイ米軍人を良く見かけた… 真冬でも半袖の軍服で、太い腕には金色の産毛を光らせ、当地の庶民を見下していたのはアフガンと同様だ。しかし、911直後と今では、アメリカに対するパキスタンの国内感情も異なる。反米感情が高まるのは避けられまい…

アメリカはパキスタン北西辺境州兵の訓練に、数年間で約3億5000万ドル(約386億円)の予算を計上しているというが、その金額を軍備や破壊に使うのではなく、水利などの建設に使って貰いたいと思うのだ…