パキスタンからアフガン人の国外追放政策を拒否する

大昔、20歳くらいから満州、モンゴル、シルクロード、ヒマラヤという地域の冒険物語に嵌まり、少し歳がいってからは英・露の覇権をめぐるグレートゲームという単語に嵌まって本を漁った。ユーラシア大陸の東西を繋ぐシルクロード、文明の十字路とまで呼ばれたアフガニスタンや、そこに連なるパキスタンの北方地域やゴビ砂漠にも憧れ何としても行ってみたいと。今になって想えばオバハンは文化人類学方面へでも進んでいれば良かったのかも。早い話が普通の人が見られない場所や、そこでの体験に憧れたと言える。幸せなことにアチコチ飛び回って「夢」の半分以上は叶ったが、満州とモンゴルには行けなかった。満州やモンゴルの冬を体験したいー30℃にもなる世界で生きる人々・・今年は最後のチャンスかと思いこの秋に満州を計画していたが、原発処理水騒ぎで中国へ行く機会を逸した。世界は想わぬことから一気に変化する、「平和」なる日々の足元には何が在るか分らない・・
おそらくはパキスタンに在住していたアフガン人も同じ思いで今いるだろう。数日前だったかパキスタン政府はアフガン政府と協議の上、アフガン人の帰還に踏み切ると言う記事があったと記憶する。だが、きょうはタリバーン政府の報道官が「パキスタン政府のアフガン人、国外追放政策を拒否する」とある。想うにタリバーン政権内での根回しが上手く行っていなかったのであろう、もしくは一部の政権幹部が決めただけかも。タリバーン政権内がイマイチ1枚岩で無いような気がするのは、こんな時だ。
しかし現実問題として、約100万人が今後4週間以内にアフガンへ戻るためには幾つかの国境で悶着が起こるのは必須だ・・大体が「順序良く並んで待つ」なる行動は絶無の人々だものな・・中にはパキスタンに居座っていればパ政府がトラックでも用意するだろうとタカを喰っている人もあるだろう。彼らにとって「国外追放」「国外退去」処分なるお題目は「屁」でもない。そもそも大昔から国境を自由に行き来していたパシュトーン族の人々にとって、いまさら国境と言われても困るものがあるだろう。パシュトーン族(約3000万人)の住む広大な地域の真ん中にアフガンとパキスタンの国境線(デュランドライン)を130年ほど前に勝手に引き、彼らを分断したのはイギリス人だ。元アフガン大統領のカルザイなどは未だにこの国境線を認めていない、多くのアフガン人にとっても国境なるものは「無い」ものなのかも・・・はてさて・・。