滑落者を見捨て、登頂の新記録にこだわる

モンスーンも後半に入りつつあり、パキスタン登山のシーズンも終わりに近づきつつある。ネパール登山は概ね春3月から5月半ばまでくらいだが、パキスタンの登山は5月半ばから8月半ばまでくらいか。もちろん冬季登山の人たちも僅少だがあるにはある。世界最高峰エベレストへの初登頂は1953年。以来70年間で累計登頂者は約1万人。近年は登山料や装備費、人件費など諸々合わせて1人平均800万円くらいで専門家(ガイドやシェルパ)が頂上までエスコートをしてくれる。健康で健脚、かつ意欲があれば頂上に立つのは難しくないと言えるようになり、多くの登山者が素晴らしい体験を求めて高峰へ憧れ登頂できるようになったのは素晴らし。が、当然のように問題も多々巻き起こる。
昨夏に比して今夏のパキスタンは登山隊数が激減(昨春は政権が変わったことで軍の口出しが多かったのか細やかな規則の羅列)登山隊と連絡将校との揉め事、多々。登山局への苦情も半端ではなかったらしく、その悪評のせいで今夏の登山隊は激減と聞く。しかし「新記録のために」登頂をと望めば事故になることも多い。先月末はノルウェーの有名登山家だという女性が、サポートしていたハイポーター(ネパールで言うところのシェルパ)が滑落したのに、見捨てて自身の登頂を強行したと大問題になっている。最近はドローンにカメラ機材を積んで撮影することも多いし、他にも50人くらいが滑落してロープにぶら下っていたハイポーターを目撃しているのに、助けなかったと。人それぞれだが・・記録優先となってしまえば、自分の命以外は羽毛のごとくか・・しかし何らかのチームとして登山をしているのだから、何人かのハイポーターやガイドもいたであろうに、救助活動がなされなかったのは大問題だ。
きょう大使館から日本人が「滑落した」と連絡があった。オバハンは体力が無くなったことで昨夏のシーズンを最後に登山関係の仕事は止めたが、なんぞあるたびに気にはなる。