賞味期限切れ

オバハンがパキスタンへ移住してきたのは40年近く前になる。当時バザールで売っている品物は地元産の野菜と牛、ヤギ、羊の肉、鶏くらいしかなく、魚と言えば冬場の2~3か月に道端で売られる川魚くらいしかなかった。子供の喜びそうな物といえばバタークリームを砂糖で固め、上っ面を飾ったクッキーや豆菓子くらいしかない幼少時を過ごした息子夫婦。今ではチョットした店が開けるくらいに日本製のおつまみ、お菓子、チップス、ケーキ、チョコレート等、ありとあらゆる食料品を日本からも運び込み、チョコレートだけで大きな冷蔵庫がある。
「あるというだけで安心出来、ストレスがなくなる」というのが息子夫婦の言い分だ。他、インスタント食料品も大量にあり、当然、全部は食べ切れずに倉庫には賞味期限切れ10年なんて品物もザラにある。  
敗戦後の物の少ない時代を過ごしたオバハンには、それら賞味期限が切れたからといって食物を捨てることが出来ない。何とか無駄にしたくない一心で、賞味期限は「出来るだけ見ない」ことにし、ひたすら自分の「舌」を信じ食べ続け、いまだかって賞味期限切れが原因で気分が悪くなったことはない。     
が、一日前の残り物「エビチリ」 貴重で高価なエビなのでお腹の中に片づけようと、1匹目を口に入れた時に?を感じた。勇気を出して2匹目も口に入れた。もったいないと思って3匹目も食べたが、それが限界だった。危険な味、匂い、プリプリ感ゼロの歯ごたえ舌触り。夜中に腹痛・下痢・蕁麻疹でも・・と不安だったが無事に朝を迎えて思ったのは、やはり、普段からの「訓練」と「食べ物を粗末にしない」心がけの大切さだ!