ヤクの肉が届いた

ギルギットからヤク(4000m以上の高地で飼育されている長毛牛。コレステロールが高くならない肉とも言われている)の貴重な肉塊が10㎏ばかり届いた。ヤクの前足1本分に少し足りない肉塊は、骨付きのままで血が滴っている。何頭ものヤクを屠殺した後、大鉈か鉞でぶった切っているから土まみれ、肉の中には骨がめり込んでいて、繊細さの欠片もない生肉だ。だが、このヤクの肉は赤血球の数が多いせいか肉質がモッチリしていて、天井などに吊るして半乾燥させると風味が増して凄く美味しい。オバハンは凝り性なので燻製にして楽しむ。しかし普通の牛に比べると関節の筋なども異常に硬い、きれいな食べられる肉にするため、肉塊と5時間も格闘をしたら身体中が血生臭くなった。さすがに「風呂」へと思える状態だ。   
前回、風呂に入ったのは何時だったのか?記憶にはない。そのくらい風呂からは遠い生活をしている。そもそも「パキスタンは砂漠の国であり、水は貴重だ」という固定観念がオバハンの頭には刷り込まれている。水は1日おきに2時間くらい給水がされ、それを水タンクに貯めて使う。家族やスタッフの多い家では水が足りるわけもないというのが日常だ。40年前のイスラマバードの年間降雨量は500㎜、最近では温暖化の影響なのか雨天が多く、年間900㎜の表示になっている。     
我が家にはボイラーがあって熱い湯はいつでも蛇口から出る。家人は毎日、風呂に入る。イスラーム教徒のスタッフたちも当然、身体を浄めるために毎日シャワーを使う。オバハンだけが無精者だ。   
耐え難い酷暑の2ヶ月間は体温を下げるために日に3-4回、2分間だけ水を被り汗も流す。これで年間、約200回分のシャワーだ。暑い3ヶ月間はせいぜい5分間のシャワーをする、これで90回か。問題は、気候も良く乾燥していて汗もかかない4ヶ月間だ。この時期は数日に1回のシャワーとして、これで約20数回分だ。さらに年間を通して10回ほどは湯船に浸かるから、総合計で330-350回も身体を洗っているではないか。基本的にオバハンは「きれい好き」なのだ。