犬には甘々のオバハン

昨夜は「ロックダウンの現実を真面目に捉える」という間違いを犯し、いささか気分の重い一夜を過ごした。初対面でも肩の凝らない人と見れば、事務所の者は冗談めかして「不名誉会長のオバハンです」と紹介することもある。が、不名誉会長と呼ばれてへらへら笑っている場合ではない!    
建設関連、化学製造関連、鉱業、農業など等の分野では業務再開・許可となるらしい。しかし旅行会社やサービス業関連などはウ~ンと後回しで、下手をすれば再開許可を待たずに倒れるところが多々あろう。パキスタンの中小企業は全国事業所の70%を占め、雇用は1000万人におよぶらしい。中小企業団体は政府に対し「賃金支出にゼロ%の金利で貸し付けを」と申し込んだが、回答は4%だったとか。業務再開までに一体、幾つの事業所が倒れることか。聞くところによれば家の使用人を初めとして、すでにドンドン首を切られているという。泥棒・強盗・ひったくり等が増えて当然だ。「断食月が始まる、終わればイスラームの大祭だ。一年で一番、お金の必要な時にクビには出来ん」と、甘々の息子が言う。見栄を張っている場合か!と言いたいが、一応、喰うには困っていないし、引退して「賄い業務」に徹している手前、オバハンは強くも言えない。   
それよりも何よりも「断食月・大祭の時期にはコロナ感染者が爆発的に増える」との報道に、当たり前の予想とは言え、その現実味には腰が引ける。息子家族は日本への帰国を視野に入れ始めたらしいが、オバハンには犬たちを置いたままで日本へ行く決心がつかない。小型犬の一匹は、何年間かパキスタン人の家3軒をタライ回しにされ、心を閉ざした臆病犬だった。それが4年半前にオバハンの家へ来て、ようやく落ち着けるようになった。不幸だった犬、その不幸の分を取り返してやりたいと、犬には甘々のオバハンなのだ。