ブット暗殺による悪循環

降っているのか、いないのかが判らないような冷たい霧雨。
天窓の汚れようで「雨粒」が確認される程度だったのが、ようよう小ぬか雨くらいになって来た… なんだか寒いなぁ~と、小さなハンカチを首に巻いた。1枚のハンカチでセーター1枚分の効果。
昨日、金曜野外大バザールから買って来た大根は、包丁を入れたら「パッリン」と割れるように切れ、思わず切り口を見たね。大根の芯が凍っているなんて、イスラマでは初めての現象だわ…

寒さのせいで何処の事務所や家庭でも、暖房のために電気よりは圧倒的に安いガスを使用。ガスの圧力が弱くて煮炊きにも時間がかかる。地方都市ではガスなし、主食のアタ(荒引き小麦粉)なし、あれもこれもナシと不便をかこっていると。

犠牲祭連休に続き、ブット暗殺後の3日間は工場なども閉鎖。その生産損害は110億円にも上ると報道。
カラチで工場を営む知り合いは、ブット暗殺後の大混乱で出先から工場(自宅兼用)へ帰りつけず、市内の友人宅で混乱を避難。朝方、道路が開いたので警官2名の護衛付で帰宅をしたら… 工場が焼けていたと(犠牲祭の連休で、住み込みの従業員たちは工場へ帰っていなかった)。近所の繊維工場も焼かれ、そこでは逃げ遅れた女工さん24人が焼け死んだという。
ブット暗殺の混乱では死者が58人と報道されていたが、すると、こうした焼死者などは58人の中には含まれていないことになる。この分では、いったい何人の犠牲者が出たことか…

ごく一般的にパキスタンでは火災保険、失業保険、生命保険などを掛ける人はない。
工場再建まで労働者は仕事にあぶれ、工場の生産は停まり、市場には物資が出回らない… 
収入も無く、生活必需品にもこと欠く悪循環。