卵、愛おしい

2ヶ月くらい前だったか、野外大バザールで生きた鶏を2羽、我が家の1歳8ヶ月のために買って来た。1歳8ヶ月はもう数ヶ月も前から毎日、犬、猫、小鳥、熱帯魚の餌やりに熱心だ。近所で飼っている鶏にも興味津々、毎日のように散歩に行って見たがるので、ついに我が家にも・・ということになった。夜は野良猫やマングースに狙われないとも限らないのでケージに入れているが、昼間は大概、庭を自由に歩き回りミミズなどを啄ばんでいる。2週間ほど前、何を考えたものか・・運転手が自分用にと闘鶏の雄鶏を買って来た。早朝、その雄鶏が声高らかにトキの声を上げる。雌鳥も鳴声を上げる・・郊外の家に暮らしているような長閑な日々。鶏の鳴声がこんなに心を癒してくれるとは想わなかったな。息子も言う「いいなぁ、鶏の声が聞こえるのは・・」と。
その雌鳥が2週間ほど前から、ほぼ毎日のように卵を産み落とす。小粒な卵を手に取り、撫で回す。そして卵が生きていることを改めて実感する。毎日、貯まっていく卵、だが、あまりの愛おしさに食べられない!
雌鳥が卵を産み始めて1ヶ月までの卵を「初卵」と言い、妊娠・出産、長寿の縁起物として古くから重宝されて来たらしい。オバハンたちが子供の頃は、まだ卵が貴重で病気見舞いや「お使い物」としての価値があった。今どきの卵は価値が低くなった、スーパーの特売品・目玉商品にもなり、いつでも手ごろに食べられる。だが、家で飼っている鶏が産んだ卵は(今のところ)惜しくて惜しくて愛おしくて食べられない。