骨惜しみをしない人

4日深夜に冬季K2登頂を目指してキャンプを出た3人、連日、軍のヘリコプターが捜索しているが見つかっていない。スカルドゥ出身のパキスタン人(ムハンマッド・アリ)は4年前の冬のナンガパルバット8126mにも初登頂しているし、世界に14座ある8000m峰のうち8峰にも登頂している。貧しいスカルドゥの山村に住むムハンマッド・アリには自力で8000m峰に向かう財力はない。彼はきっと骨惜しみをせずに働き、かつ明るい人柄の人間だろうと確信できる。だからこそ世界の登山家から声がかかるのだろう。田部井淳子さんもそうだったが、明るく骨惜しみをせず、誰の面倒でも良く見る人は仲間からの信頼は厚く、かつ貴重な戦力だ、そして頂上へのチャンスも大きい。
我が家にも警備員として3年以上黙々と働いている若いスタッフがいる。誰でもが帰省したい祝祭日でも休まずに一人で残り、日々のゴミ捨て、掃除・台所の後片付けまで手伝ってくれる。もちろん「お年玉」は過分に出すが、職業分担がハッキリ分かれているパキスタンでは、なかなか出来ることではない。言われたことが出来れば「上々の上」のパキスタン、大概は3つ用事を言いつければ1つか、良くて2つしか出来ない。小学校で「検算」を習うことがないので作業終了後の点検・後始末は絶対に出来ない(きっぱり) なにしろ進級試験の合格点が100点中34点、3分の1が出来れば合格と考えている国民だ。そんな中で黙々と自分なりに、小さなことも工夫して働く我が家の若いスタッフは貴重だ。こういう人材ばかりならパキスタンは飛躍的に成長するといつも思う。そして黙々と働く若いスタッフを応援、日本へ働きに行けるようにしてやりたいとも思う心境になり、日本語を教えだした。
日本の就労人口は5660万人、少子高齢化もあって年々、日本の就労人口は減っていく。外国からの労働者が必要ということで、この10年日本政府は外国人の労働者を増やそうとしているようだが、3分のが出来れば合格と考えるよう外国人を日本へ迎え入れるのなら、揉め事多発に違いない。