迅速な救済措置

イスラーム教徒の義務には5つの行動(日に5回の礼拝、喜捨、断食、メッカへの巡礼、信仰の告白)がある。パキスタンで飢え死にする人が皆無なのは、生活に余裕ある者が喜捨ザカートを行うからだ。そのために州や県、地方には従来からザカート委員会というものがある。    
コロナでロックダウンになり、日銭が稼げなくなった人々のために、政府は救済を提供。今回の救済措置でオバハンが画期的と思ったのは、政府が立ち上げた「支援用のアプリに登録をすれば援助が得られる」というものだ。スマホを持たない人はweb smsなど、あらゆる媒体で登録が出来る。パンジャーブ州では僅か3日間で1100万人が登録したと。
それらの人々を喜捨ザカート地区委員会では検証、救済に値する市民だけが救済パッケージの恩恵を受けられるという。おまけに役人などが関与することなく(中間搾取をなくすために)支払いは支店のない銀行メカニズムで直接現金が受け取れので透明性が確保されると。      
こうした迅速な救済措置は、イスラームの教えによる喜捨ザカート・システムがあるからだ。毎年、喜捨ザカートを受け取れる市民階層は決まっている。ただ、ネット回線の不調などで登録出来ない人々も多いと報道にはあったが、マスク2枚の配布決定以外に、なんら措置が決められない日本とは大違いだ。    
おまけに首都では、先般も書いたが物価が下がっている。昨夏から今年の初めにかけてのインフレで、食料品は高値どまりだったのがやや解消された。先般、イスラーム法学者評議会が発布したファトワーのせいもあろうが、輸送燃料が下がったことも影響しての値下がりのようだ。      

昨日、在パ日本人に対してチャーター便 搭乗希望者の予備調査というのがあった。
コロナ感染者の拡大で在パ日本人の中でも不安が増しているのだろう。パキスタンから日本へのフライトがなくなる前に脱出した方々も沢山おられるは想うが、まだ何人もの日本人が滞在しておられるようだ。もちろんオバハンにも不安はある。不安の原因は、一に当地の医療レベルに係っている。
だが同時テロ多発911の大混乱時にも逃げようとは思わなかった。当地で万が一の時には逃げて行ける日本があることの安心を、逃げて行きたくとも逃げ場所のない人たちから比べて有難いと想うと同時に、申し訳ないという気にもなった記憶がある。