言論の自由

フランスで起きたテロ事件、日本ではどんなふうに報道されているのかは知らない。が、おそらく……多くの日本人には、遠い国の出来事くらいにしか感じられないのだろう。 だが、はたしてそれで良いのか?

アノニマス(インターネット上の言論の自由などを掲げ活動する、国際的ハッカー集団。英語で「匿名」を意味し、若者やコンピューター技術者らが連帯し顧客情報を流出させたりしている)という謎のハッカー集団が、アルカイダイスラーム国に宣戦を布告したという。 宣戦の布告理由は、表現の自由を侵害したからというものであるらしいが、表現の自由という価値観は、欧米日などから見た場合のものではないのか?
それをいうならイスラーム側の理論にも、西欧に対して「言うべき自由はある」。

テロ集団に襲われた週刊新聞社は、特別号を発行。テロや暴力に屈しない姿勢を示すという。銃撃で死亡した風刺漫画家たちの作品や、預言者ムハンマッドのテロを容認しない悲しそうな風刺画も掲載するという。編集者の心意気は分るが、火に油を注ぐだけでは?と案じる。
西欧 vs イスラムという文化の対立は、永遠に平行線である。
それぞれ固有の文化や価値観は、互いにそれを敬い認め合うしかない。ヘイトスピーチやテロは認められないが、画一化された価値観や文化はぬるま湯的ではなかろうか? 

いつだったか読んだ、元中国大使だった丹羽宇一郎氏の談話が凄く心に残っている。 日本海で獲った「ナマコは弱りやすく漁師が沖合で捕っても港に着くまでにほとんどが死んでしまうが、そのナマコの群れの中にカニを一匹入れておくと、生きたまま持って帰れるという。科学的にはナマコの天敵はカニではないようだが、『何事も新鮮であり続けるためには天敵(刺激)が必要』との例え話として紹介されていた。西欧にとってイスラームが天敵である筈はないが、それでも同一の価値観内には緊張も進歩もないのではないかしらん。