パキスタンでは、マイノリティのキリスト教徒たち

5日間連続で未明に1時間ばかりの雨。やっとモンスーンらしい気候になった。毎未明の雨で草木も生き返った。昼間はベタベタと蒸し暑いが、早朝は湿った空気が心地よい。で、1週間、事務所に閉じこもったままで、日本語会話の練習に励むアフガン人スタッフ2人を連れ、気分転換をも兼ねて日曜野外バザールへ出かけて来た。
アフガン人スタッフ2人はどちらもモンゴリアン的風貌で、スカルドゥの東に暮らすチベット系民族とでも言い繕えば(何かの折には)検問所でも、どうってことはないのだが、そのうちの1人の歩き方、民族服の着こなしがパキスタン人的ではないのだ! 首都内ではテロリスト(アフガン人)への取締りは厳重。街のそこここには厳しい検問所がいっぱい。だからパキスタン人的に歩けず、ダリ語しか解せないアフガン人スタッフは外に出せなかった。

野外バザールからの帰り、自宅まで後1,5Kmほどで多くの車が渋滞。大通り沿いに300mくらいの長さで新しい大テントがズラリ張りめぐらされ、殺気だった群衆がいっぱい。その多くがパキスタンの民族服を着ていない… なんじゃ? なに者たちじゃ? なにごとか?
運転手の説明によると、「昨日、ラホールに近いグジュラ・なんとか町で、イスラーム教の聖典コーランを侮辱されたと怒ったイスラーム教徒たちが、キリスト教徒の住宅多数に放火、銃撃戦で数人が死亡した抗議行動だろう」と。 新聞によれば、イスラーム教徒から放火を受けた家は数十軒にものぼるという。助け合わなくては生きていけない過酷な社会環境の故に、イスラーム教徒の結束も強いが、マイノリティであるキリスト教徒の結束はさらに強い。 政府自体が、マイノリティであるキリスト教徒の保護に努めているせいがあるかも。

キリスト教徒抗議集団の居座る大通り沿いに、オバハンたちが乗るハイエース中央分離帯を挟んで徐行する羽目になった。検問は厳しく買って来た野菜50kgの隅々まで調べられた。 職務に忠実な若い治安維持警察官たちだったが、中に乗るアフガン人スタッフにはチラと目をやったきりだ。歩いていれば「歩き方で」アフガン人と判り、難癖をつけられたことだろう。