登山シーズンの始まり

登山シーズンが始まり、日本からの登山チームの世話をしてバタバタしている間に6月も1週間が過ぎた。北方山岳地域の治安は今のところ昔と変わらず、登山やトレッキングには支障がない。ただ、登山やトレッキングへの一歩を始める地点に到達するまでがなかなかの問題だ。
今夏最大の登山隊の荷物を積んだ輸送トラックが出発して8時間ばかりの未明に電話。北西辺境州を抜けて…カラコルム・ハイウエーに入る手前で橋が爆破され、通行不可で何kmにも渡って車輌が足止めと。迂回路はあるにはある…だが、そんな道を走って強盗や武装勢力の餌食になったら、もっとエライことだ。マネージャーは政府の要所アチコチへ電話をかけまくり、輸送トラックと登山隊のメンバーを乗せた車輌を優先的に通して貰ったが、一時は冷汗ものだった。今夕も2隊が出発する、無事に登山を終え帰って来て欲しいと祈っている。

先月末、パキスタン政府はイスラーム過激派の掃討でスワット最大の都市ミンゴーラを奪回、成果を挙げたと発表していたが… なんのことはないスワット地区に居た武装勢力を散らばせただけだ。スワットでの戦闘が激しくなっていた4月、カラコルム・ハイウエーを通って案じた通りのことが起こっているとしか思えない。スワットと山ひとつ隔てたカラコルム・ハイウエー沿いの町ベシャムだけを見ても、それは歴然としている。

武装勢力は政府軍が北西辺境州での掃討作戦を終了するまで、国内各地への攻撃を止めないと警告しているから、今後の方が問題だ。
パキスタン国内の各地、ラホールや北西辺境州のあちこちで爆破テロなどが日に何回もというペースで続いている。しかしイスラマバードでは、ここしばらくテロがなかったが、月初めには10人ものテロリストが首都へ入り込んだと厳重警戒になっていた。そして…ついに6日夜、自爆テロという形で警察の救急隊センターが標的になった。死者2名、負傷者が30名近い。高塀を飛び越えて侵入して来たという自爆犯自身も凄絶にバラケ飛び散ったと言う。

しかし自爆テロがあって、「これで、しばらくはテロがない」と思った人々が雨上がりで気温の下がったバザールへ出てノビノビ買い物。日曜の朝には町中の涼しい木陰でお茶やコーヒーを楽しむ外国人の姿が久々に眺められたと。オバハンもテロの後は「これで暫くはテロに遭うこともない」と、野外市場へ行くのを常としているから、人間の考えることは同じようだ。