マリオット・ホテルの大物コック様

5年前に荒漠の山野など等を走り回る激しい取材現場の仕事からは一応引退し、最近では自分好みの取材に「首だけを突っ込む」という生活。 ついでに一応引退しても家で静かにしていられる性格でもないので… 時々、気が向いた時だけ台所に立ち、お客様のお食事を用意する「賄いのオバサン」をもさせて頂いている。
早朝から身体を動かし、自分の好きなように働くのは大好きだが… 如何せん、我儘なので毎日、決まり切ったことを「しなければならない」というのは性に合わない。 人一倍、働くが… 自分の思うようにしか働かない! 

今春にはついに65歳となり仕事からの完全引退を考えたが、やっぱり、ほんの少しだけは働きたいから、気が向いた時だけの「賄いオバサン」にしがみ付いている。 でも、やさしい息子はオバハンが完全に引退をして、さらに自由気儘の生活が出来るようにと… 新たにシェフを雇ってくれようと努力中。 

でも~~ 3日前に来たコックは「超」の上に「超」がつく生意気モノ。当地の一流ホテル・マリオットでコックをしていたとも言う大物のコックと!!! とにかく誰と顔を合わせても一言の挨拶もなし。鍋や皿、ボールも使い放題。鍋やフライパンが山積みの流しではオバハン自身の作業に差し障るので、大物コック様のために普段は後片付けをしないオバハンがせっせと洗い物! 
で、ムカツクのはそれだけではなく、オバハンに向かってため口。 ついでに言い訳ならぬ「口ごたえ」いっぱい。
それでも作る料理がムッチャ旨いのなら、食いしん坊のオバハンは我慢をする!  しかし腕は口ほどもナシ。

まぁ…ウチに来るコックは不幸と言えば不幸なのよね~  オバハンと共に20年間、日パ旅行社を支えている相棒の彼女も台所が大好き。 オバハンのアシスタントを務める若いコックも新入りコックの腕のほどを見極めようと、料理の手順や包丁捌きなど等、ジッと見据えているものねぇ~。ついでに水の使い方や、材料の使い方も。
自分の思うように台所を仕切れないと見た大物コック様、そして大物コック様に洗い物や後片付けをさせられたオバハン。ついにブチ切れて「アタシはお前さんの使用人ではない~~」と、ウンコ座りで啖呵切ってしまった。
まったく品がないなぁ~と自分でも思いながら…

しかし、大物は大物で、「洗い物や片付けは絶対にしない!」と抵抗、言明。 3日間、我慢をしたがもう辛抱ならん。せっかく息子が雇ってくれようとしたコックだし、どんなコックが来てもいいが、こいつだけは「嫌や!」