開通

ようやくネットに繋がるようになった。ネットに繋がったのも嬉しいが、いま自分の65年に及ぶ人生の中で、物凄い贅沢な時間を過ごしているのも嬉しい。こんな贅沢な生き方があっていいのかと思うくらいに。しかし、人生は万事塞翁が馬だし…今後はどうなるか???

34年もの大昔、パキスタン北方地域の中心地ギルギットからほど遠くないところの山を目指した。
カラコルム山脈の中にあっては、6143mの盛り上がりは小さな山だ。しかし眺める角度によってはシャープな山容で人を惹きつけるものがあった。遠い日本では知る由もなかったが、現地では妖精が住む聖なる山として、当時は登山許可が下りない山だった。
いろいろあって、現地へは来たものの、登山以前に敗退した山だが、何時も自分の中にあってギルギットヘ来れば登れなかったことへの痛みを伴って眺める山だった。その山を正面に見ながら、きょうから使えるようになったネットでブログの更新。溜まっていたメールの返事。ついでに懸案となっている原稿書き…。

北方地域はパキスタン政府の直轄地となっている。正式には未だに印パどちらにも帰属しない地域ということになっているが、パキスタンが実効支配して久しい。もっともカシミールの殆どはインドが自国領として支配し、「どちらにも帰属しない」などという曖昧さはアタマから排除している。
その点、パキスタンは大国インドに遠慮をし、まだ「どちらにも帰属していない」と表現しているから慎ましやかだ。

初夏の若葉色に変わったポプラからは、風花のような綿毛が光りながらフワフワと舞って来る。ポプラの向こうには、その山が白く尖って見える。それらを見ながら、誰にも邪魔されずに自分の時間を持っている。