<ペシャワール会>アフガンに教育施設「マドラサ」建設へ

25日、全インドからイスラム法学者ら2万人近くが集まり、「テロは反イスラムである」として強く非難する宣言を採択したと報道されている。イスラムの伝統的価値観を重視した教義で知られる「デオバンド学派」の拠点での、「テロは反イスラムである」とした宣言の意味は非常に大きいとオバハンには思える。
デオバンド学派はアフガニスタンを支配した原理主義勢力タリバンに影響を与えており、反テロ宣言は今後、内外で反響を呼びそうだと。

「全インド反テロ集会」には、シーア派スンニ派双方から計6000のマドラサの代表者が出席。採択された宣言は、「イスラムは罪のない人を殺すことを禁じている」と指摘し、「テロ事件のたびに、イスラム教徒と結びつけようとする人々がいる」として、世論にイスラムへの偏見をなくすよう訴えている。


そうした動きの中、「ペシャワール会」が、アフガン東部のナンガルハル州で、イスラム教の伝統的教育施設「マドラサ」の建設を始めたと。建設場所は同州シェイワ郡で、会が農業用水路造成を進めている場所の近く。同郡は近年、隣国パキスタンなどから大勢の難民が帰還する人口急増地だがマドラサがなく、教育を受けられない子供が増えている。事情を知った会が郡政府に支援を申し出たと。

約1万4000平方メートルの敷地に、300人収容の校舎と寮のほか、600人収容できるモスクも備える。総工費は二千数百万円。昨年12月に着工し、6月ごろまでに寮以外の工事を終え、開校させたい考え。運営費は郡政府や地元の篤志家らが出資する。

中村医師(61)は「マドラサは住民の精神的なよりどころだけでなく、孤児を育てるなど福祉施設の機能も持ち、地域安定に大きな役割を担っている」と建設意義を話している。

イスラム圏の政治や文化に詳しい宮田律・静岡県立大准教授の話「イスラム社会の核となるマドラサの建設は着眼点が良い。日本のNGOが建設に携わることで、世界で強まる文明の衝突構造を弱める働きも期待される。同時にマドラサで過激思想が育たぬよう、運営を経済的に安定させることも必要だろう」と。