ムシャラフの決意

治安の悪化に伴い、当地の人々も不急不要の外出を控えるようになっているせいか、街は何処へ行っても人の出が少なく、煮えたぎるような途上国特有の活気が見られない。活気がないのは、諸物価高騰の上に失業者も増え、購買力がないせいかも。現金が動く都会はともかくも、少し田舎へ行けば夕食も摂れない国民が増えているという近年にない不景気、政策の失敗ともいえる最近の出来事の数々… 国民の意欲も減退して当然だ。そう思って見るせいか、バス停に佇む人々の顔が一様に暗い。
これで総選挙に貧しい人々の思いが反映されなかったら、タリバーン化が進むだろう。もしくは暴動だ…

総選挙まで後1ヶ月のパキスタンムシャラフは選挙の妨害者に「発砲」する権限を(軍隊に)与えるとの考えを、カラチの実業界で示したという。発砲が認められる妨害行為の程度などは「不明」というから、物凄く怖い話だ… 
早い話が理由づけなど、何でも出来るのが今のパキスタンだと言ってもいい…

年末のブット暗殺後の数日では、民衆の略奪行為などによってパキスタンの経済の損失が2億米ドル(約216億円)と推定されているとか。その後は壊された工場が稼動しない、あれもこれもと不都合が湧き出て、失業者続出(失業手当などは出ない)… これ等からもパキスタン経済が被る被害は甚大だろう。
1$が106円にもかかわらず、ドル対ルピーの換金レートは過去最低に下がり、パキスタン経済の先には光がないと、実業界の見方は一致。選挙結果によっては国外脱出も視野に入れねば…という実業家もで出した。

ただ、ムシャラフの「野党に勝たせない作戦」にもかかわらず、PPPの圧勝は決まっていると楽観的な意見も巷では多い。ムシャラフの政敵(とはいえ、裏面では利害を一致させようとした)ブット元首相がいなくなった今となっては、アメリカは当分、ムシャラフを頼りにし、担ぐしかないのか?