パキスタン非常事態宣言後

ブッシュがムシャラフに「非常事態宣言を早急に解除し、選挙を実施するように」と、余程の圧力をかけたものか、昨日のパキスタン国営TVでは首相が「1月半ばに総選挙の予定」と言い出した。さら国営TVによるとムシャラフは、新たに選任した最高裁判事によって、ムシャラフの大統領再選が認めらたら、陸軍参謀長を辞任すると強調したと。

ブッシュがムシャラフに陸軍参謀長から退くように要求したというのが、当地新聞の1面でも報じられている。しかし、ムシャラフは大統領になれたら参謀長を退くと言っているので、何が何でも大統領職にしがみつこうとする魂胆は変わらないようだ。

オバハンの体験した非常事態宣言は今回を含めると、これまでに3度。
1度目はインドに対抗して核実験後の非常事態宣言で、世界から経済制裁を受け国は困窮するだろう。しかし3度の食事を2度にしてでも耐え忍ぼうとする、悲壮な一致団結が国民には見られた。外貨口座は凍結され、オバハンは痛い目に遭った。
2度目はブット、シャリフと続く汚職まみれの政権を軍が掌握。建国以来の歴史では、軍のクーデターによって政権が正常化されるというので、期待は大きかった。ムシャラフによるクーデターは国民から歓迎された。ムシャラフによる最初の会見では、押し上げられて大統領職についてしまった戸惑いが見られたし、その後の数年は必死になって国の舵取りをし、刃の上を渡るようなバランス感覚で、なんとかパキスタンを存続させようという努力が見られた。

しかし今回の非常事態宣言には大義がなく、国中に重苦しい空気が漂っている。
良識者は「こうした事態に口を噤んだままでいるのは世界に対して恥ずかしい。行動せねば」と言う。また、国民もますますムシャラフ離れに傾いている。ムシャラフ自宅軟禁の噂に狂喜し、ミタイ(オメデタイ時に食べる甘いお菓子)を役所へ運んだ人もあったというから、世論は推して知るべしだ…

ストック・マーケットでは、パキスタンの先行き不透明感で下落幅が大きいと。