パキスタンとイランの国境付近

旅行ガイドブックで、パキスタン・イラン国境越えのページのまず最初に、「(パキスタンから入って直ぐの)イランの町、ザヘダーンでは誘拐事件がたびたび発生、治安が悪いため ーー中略ーー 陸路での入国を避け、空路で移動する方がいい」と明記されている。
また、パキスタン側でもバロチスターン州の治安は悪く、誘拐事件は頻発している…

でも、空路移動では風景や住んでいる人々など、何も見えないものな… 
陸路での移動には、車から降り立たなくても、走っているだけで見えるものがあるからなぁ…。おまけにアジア・ハイウエーとか、インダス河沿いに走るカラコルム・ハイウエーとかいう道路の名前には、旅行者のロマンをかきたてるものがあり、惹かれるのよね… 事故に遭ったら元も子もないのは解るが、つい走りたくなるものだ。

数年に1度は仕事で走るはめになる、このイランへの陸路。
イランに一番近いクエッタの町からでも国境までは700km、15時間。政府からは護衛をつけてもらい、車が故障した時のことを考え2台以上で走ることにはなるのだが、事務所のスタッフを送り出すにしろ、小心者のオバハンには応える道だわ。たまには砂漠の鉄砲水、強盗、誘拐… 息子も昔、この道で銃撃されているし…

日本人の学生を誘拐した麻薬密売組織が、大学生解放の条件として指導者の息子の釈放を要求しており、それに対しイラン政府は「麻薬密売組織の要求に屈することはない」と述べていると。
イランは麻薬取り締まりに関しては世界一と言ってもいいほど、厳しい。麻薬の売買に関しては死刑などの極刑を科している。それをを思えば、イラン政府が麻薬組織の指導者家族を解放するなど、あり得ないし、拒否する姿勢も当然だ。
世界一の麻薬生産地、黄金の三日月地帯に住む彼らは、日本の麻薬組織と違ってシッカリ武装もしている筈。日本政府の依頼により解放への努力をするイラン政府も、彼ら麻薬組織とことを構えるのはしんどいことだろう…
なんだか、長引きそうな予感…



明日は1ヶ月にわたった続いた断食が明け、いよいよイード(新年)。
バザールでは遅くまで電気が煌々と灯り、道幅いっぱいに露天も商品を並べている。その狭い道を新しい服や靴を求める人々が行き交い、賑わっている。大通りでも電飾をぶら下げた店やビルが目立ち始めた。2年前、パキスタン地震の折の自粛で真っ暗だった断食明けのイードとは大違いに賑やかだが、自爆テロにでも遭ったら…と、なんとなく怖くて人ごみへは出る気にならない…