冷凍庫はガラ空き

貧しい人々は1年に1度、肉がたっぷり味わえる犠牲祭を楽しみにしているものだ。普段はオバハンたちの暮らすセクターでは見かけることがない貧しそうな人々が、犠牲祭の1週間ほど前になると各家を覗き込み、神に捧げる家畜がいるかいないかを確認して廻る異常事態?が出現する。そして家畜を屠殺する頃合いには多いときで三十人ちかくの女性や子どもたちが裏門の前に群れることとなる。屠殺には専門職の人を頼むのだが、他はスタッフ総出で約1kgずつのパックを作り、集まっている人々や知り合いへ配布して廻る。実は、神(アッラー)の御名の下に屠殺される家畜たち、昨年の物価高騰から引き続き数が減っているとニュースにもあったが、今夏は想ったよりもさらに深刻な事態の様相。毎年、我が家では10kg前後の肉を頂くので、わざわざ10日ほど前から冷凍庫に空き場所を作り、肉の到来を待っていたのだが、な、なんと!今年はただの1袋も戴けなかった! 今までならばスタッフの実家へ持ち帰らせる肉など等で冷凍庫はギッシリ詰ることになるのだが、信じられない現象だ!世も末、パキスタン終わったな・・過日の犠牲祭特別礼拝で、首相はパキスタンイスラーム世界に祝福が降り注ぐようにと全能の神アッラーへ祈願したというが。
今夏の犠牲祭では、近隣で牛やヤギを屠ったのは1ヶ月ほど前にお年寄りが亡くなったという家と、オバハンの家から1軒置いた隣で怪しいゲストハウスを営んでいる家だけだ。

久しぶりの快晴、雨上がりで木の葉が艶めいているのを眺めながら、昼食に具沢山の冷やし中華をゆっくり食べている。早い話がキュウリ、トマト、ワカメ、卵焼き、焼き鶏やルッコラやバジルなど目に付いたものをみな載せて「お片付け」を兼ねたという簡便さ。