韓国人の解放条件

昨日の韓国紙では、韓国人解放条件の1つに、韓国政府がタリバーンに対して5カ所に小規模病院を建設する約束をしていたと報じている。
韓国紙によると、韓国政府消息筋が「テロ集団には現金が渡せない。代わりに病院を建てると口頭で約束した」と証言しており、建設場所は地元の部族長らが病院建設を要求したというアフガン南部のパキスタンとの国境地帯で、事実上、カルザイ政権の支配が及ばない地域とされている。

アフガニスターンでは全土の80%以上が漠々と乾いた山村で、山村部に病院などはない。
薬屋のある町まで行くのにも2~6時間はバスに乗り、そのバスも日に1本しかないというのが、アフガニスターン山村の現状と言えるかもしれない。巡回医療に山村へ出向くと、半日もロバの背中に揺られて病人が運ばれて来る。ささいな怪我の手当てが出来ず、手遅れになって不自由な生活をしている人も多い。
山村部での乳幼児の死亡率は(オバハンの現地調査では)30%近かったし、出産状況は過酷で命にかかわるのが普通だ。ユニセフなどのデーターでは都市と山村を均しているので、山村部が都市部の約3倍もの死亡率、妊産婦の死亡率を抱えていることを知る人は少ない。

どこの山村に行っても診療所が欲しい、女性にとっては出産介助の出来る人が欲しいと切実な問題になっている。これはアフガニスターンだけではなく、パキスタンの山岳地帯でも状況は似たようなものだ。
アフガニスターンでは地方へ行けば、まともな診療所すらないのが現実であり、そこに5ヶ所もの「病院」が欲しいと願うタリバーンは贅沢なのだろうか?(人質との交換を容認しているわけではない、念のため) 

韓国政府筋の話しや現カルザイ政権の言う「反政府活動をするタリバーンの支配地だから病院や診療所の建設が出来ない」というのは、言い訳にしか過ぎない。
人間の生きている土地で、自分たちの生死に関わって来る病院建設に反対する人があろうか?
ただ、建設の利権がカルザイ政権に繋がる人間にあるとしたら、一部のタリバーンは反対するだろう。
カルザイ政権は、地方が望む形での復興支援を考えたことがあるのか? 

カルザイ自身はアメリカ軍に守られて(自国のアフガン軍は信用出来ないとして、ゴリラのようにごついアメリカ軍で周辺を固めている)安穏としているだけで、地方の現状を知りながら地方との融和政策も考えず、頭から反政府勢力のいるところだから病院建設は無理だと言い切るのはオカシイ!
先般も書いたように、ケシに代わる作物が植えられるような治水政策もせずして、地方の長老たちに代替作物を奨励、ハッパをかけるのはオカシイ! 
地方(タリバーンの支配地が多い)でも安心して子どもを生み育てられる環境を作り出すことが、為政者の義務ではないのか…

アフガニスターン全土の80%が地方にもかかわらず、地方の復興支援政策を怠り、また周辺諸国がアフガンの治安を妨げているから出来ないと言い募るカルザイ政権を、911同時多発テロ以降約6年間(この間アフガンに滞在すること600日)見てきたオバハン自身の思いは複雑だ…