逃げ足の速さ・・・

何でも見たい、何でも体験したい、ダメと言われたなら余計に燃える!という性格が幸いし、TVや新聞、雑誌など、あらゆる取材のコーディネイターとして25年以上も、アフガンやパキスタンの「ややこしい場所」で場数だけは踏んできたオバハン。
危機管理のセンセイの多くは、アフガンのムジャヒディーンたちだ。中でも運転手のアクバルは11人の子持ち、40歳半ばと年齢的にも完熟。何度助けられ、教えられたことか・・・ 
当然、場数の分だけ痛い目にも遭っているが、学習も半端ではなく、山のように積み重ねて来た。
そして、自慢じゃないが・・・ オバハンの逃げ足の速さは天下一品。
何時だったかは、アフガン支援と称してやって来た胡散臭い団体の中のヤッちゃん達から、「オバハンから目を離すな、オバハンが逃げたら俺たちも逃げよう!」と。
山道で崖の下へズリ落ちしそうなジープから、仲間を捨てて自分だけが飛び降りたこと数知れず。娘を路上に置いたまま、自分だけが安全圏へ逃げたことも数知れず。
アッと思った瞬間には伏せたり、飛び降りたり、恥も外聞もなく回れ右をし、その場を後にする能力には長けていると思う・・・

それらの経験から言うと、今のパキスタンは非常に剣呑な事態に面している。
ムシャラフ大統領は地元メディアとの会合で、「われわれは過激勢力との直接対決に入った。これは穏健勢力と過激勢力との戦いだ」と述べたとあるが、911同時多発テロ直後のブッシュ、そしてオサマ・ビン・ラディーンのセリフを思い出す。
あの時のブッシュは、オサマ・ビン・ラディーンの言う「地獄の蓋を開けた」と思ったものだが、ムシャラフアメリカの後押しで同じ轍を踏もうとしているように見える。

国内を真二つに割る「穏健勢力と過激勢力との戦い」というセリフに込められた、危険性。
たぶん、この30年近いパキスタン在住の中で一番悪い状態になったと思える。