NWAセンターは、女性たちのオアシス①

ふと、NWA(日パ・ウエルフェアー・アソシエーション)の活動報告14年度分を載せてみようと思い立って…… 先般の報告会でも配布した「ニュース・レター」を引っ張り出してみた。
な、なんと……5年以上もギルギットのニュースを載せていない。我ながらショックだ。

ーーーNWAセンターは、女性たちのオアシスーーー
2004年の起工式から丸4年、2階建て8教室、母子保健室、栄養指導・料理教室、2つの大きなホール、事務室、職員室。センターとは背中合わせに、日本人ボランティアのための宿舎(3部屋と事務室、台所、居間など)が2008年に完備。  外国からのNGOが賃貸住宅を事務所にする中で、NWAは子供平和基金など、皆さまのお蔭で立派な自前の建物を持つことが出来ました。
「自前の建物である」ということは、2~3年の腰掛的な支援ではない。そのことが地域の信頼を得る元となっています。また、センターの教職員、生徒たちも立派な建物に胸を張って通って来ています。

パキスタンの(旧)北方地域はアフガンに接する(旧)北西辺境州と並んで閉鎖的な地域です。成人女性の一人歩きなどはあり得ません。バザールで買い物をしているのは初潮の訪れに遠い少女か老婆だけですが、それもめったに見かけることはありません。病気になっても女性だけでは病院へ行くことも出来ません。男性のエスコートが必要な社会なのです。

田舎では安全の確保(自衛)と経済的な事情のために、大家族で暮らすことが普通です。女性たちの多くは、「1軒の家に30人もが暮らし、互いの行動を見張ってアラさがしをし合っているような生活には息が詰まる。家の中にいるだけで気分がクサクサする、なんとか1時間でも息抜きに外へ出てみたいが機会がない」と嘆きます。
NWAセンターでは様々な習い事が出来ます。
結婚を前に料理や栄養について学ぶ教室は何時でも定員がオーバーです。GB州(旧)北方地域で唯一の料理・栄養教室では、近年、増えつつある成人病予防の献立が中心です。パキスタン料理では大量の油を使います。一家族20数人で使用する油は1か月に15~25リットルであり、まるで油を飲むような食生活です。また妊婦へのお見舞いには、貧しくて物のなかった時代の名残で、バターが(昔はどこの家でも牛やヤギを飼い、その乳を使って家でバターを作っていました)一般的です。妊娠中に1人の女性が消費するバターは6~20㎏だと言い、体重が20㎏も増えて出産に支障をきたす人が増えています。さらには出産後に元の体重へ戻る間もなく次の妊娠を繰り返し、20代でコレステロール値が異常に高い女性もいます。
貧しかった時代の名残で、今でも「太っている女性は良い(美人)」と考える風潮がパキスタンにはありますが、健康を考え正常値を知って貰おうとNWAの保健婦は村々への巡回に熱心です。
昔からの、現地に伝わる価値観はなかなか変えることが難しいものです。ギルギットなどはカラコルム山脈の麓とも言える地方にあり、平野部で生産され、幾つもの峠を越えて運び込まれて来た砂糖などは貴重品でした。砂糖の代わりに岩塩を使用する、チベットなどと同じように塩味の紅茶を日に何杯も飲む習慣のあるギルギットの人々が、塩と油の使用量に気を付ければ、どれだけ成人病(特に心臓病)の予防になることでしょうか。