19000台のコンテナーはどこへ行ったのか

8月半ばというか、下旬というか…シリア問題が欧米で取沙汰されていた頃…
当地の新聞で大きく取り上げられていたのが、「カラチで陸揚げされた武器でいっぱいの19000台ものコンテナーが紛失になっている」というニュース。
1900台ではない、1万9000台もの武器が詰まったコンテナーが誰かに盗み出されていると。常識で考えたら簡単に盗み出せる数ではないから、どこかへ運ばれたに決まっているのだろう。  そして多くの者は「アメリカ自身がシリアへ運んだ…」と想像した。

アメリカ大使館はNATOやISAF(多国籍軍)のコンテナは1台も盗まれていない。新聞報道は誤りであると、わざわざ「事件発覚後3週間近くもなって」ステートメントを出した。しかしコンテナは確かにカラチ港で入関されており、記録にも残っているというので責任者の某退役少将が政府や最高裁判所にも届け出をし、政府も真相究明に乗り出した。

アメリカはカラチ港を外交・軍事物資の出荷で慣例的に使用しているが、「アメリカもISAFもカラチ港経由でかつて武器または弾薬を送っていません」と。  よう言うわなぁ…
古い話を持ち出して恐縮だが、かってアフガンからロシアを追い出そうとした聖戦士たちへの支援にと、世界中からロバやラバまでを輸入し、山道を延々と列なしてどれほどの武器弾薬をアメリカはアフガンへ運び込んだか。結果、後の武装勢力を育てたのはアメリカ自身なのだ。 
当然、今もアメリカはカラチ港で陸揚げした武器弾薬等々を陸路アフガンへ運んでいる。兵器、武器弾薬だけではない、アメリカからアフガンへ運ばれるものの殆どはカラチで陸揚げされている。

1万9000台ものコンテナが一時に無くなったわけではないだろう、長い時間をかけて無くなったに違いない。たまたま仕事熱心な責任者が「現実」にぶち当たって慌てたのかもしれないが、もの凄い話だ。おまけに全てが「誤報」であるなら、ここまで報道で騒がれなかっただろうし、アメリカももっと違う対応が出来たろうというのが大方の見方だ。

それにしてもアメリカの対応。 イラクに大量兵器があると言って「危険を回避するために」と先制攻撃は許される…とか、立派な大義名分を振り回すのを得意としていたが。今回は通じなかったようだ。