和平への仲介

ブッシュ政権が終る。パキスタン(人)にとってはアメリカの大統領選挙の去就はとても気になるところだ。オバマとマケインの公開討論(パキスタンやアフガンについて)は、当地のTVで朝から晩まで繰り返し流されている。今のところオバマもマケインも「対テロ 武装勢力との戦い」に後ろを向く気は見せていないが…。

しかし、ここへ来てアメリカのアフガンに対するスタンスが僅か、変わりつつある。 「急速な治安悪化が進むアフガン。カルザイ政権の統治能力に強い疑問を投げ掛ける報告書案をアメリカがまとめた」と。アメリカが守り、ひたすら後押しをして来たカルザイの統治能力を責めても仕方があるまい。元々カルザはアメリカの言うがままに動く、単なるスポークスマンにしか過ぎないのだから。カルザイの能力をウンヌンするのはチト筋違いでは?

5日付の英紙サンデー・タイムズ(電子版)は、駐アフガニスタン英軍最高司令官がイスラム原理主義勢力タリバンとの戦闘について「我々はこの戦いには勝てない」と悲観的な見方を示したと報じたと。 また駐アフガン米軍の司令官も、「現在の8万人から40万人に増兵しなければ武装勢力には勝てない」と言い出している。  さらにはアメリカの国防長官が、「武装闘争を続けるイスラーム強硬派、タリバーンと和平交渉を進めるなら、これを支持するとの考えを示した」と伝えられている。今までは武装勢力との対話に大反対して来たにもかかわらず…

イスラーム教徒の義務メッカへの巡礼に際し、サウジアラビアの王がタリバーンの指導者たちを招き、ついで「アフガンの和平」について声をかけたとのニュースを読んで、「ほ~~」と感心していたオバハンだが、その話し合いの要請が実はカルザイから出たものだと知って、近々のアメリカの発言にも納得するようになった。カルザイには単独で、そうした「和平」への要請は出来まい。アメリカからの示唆があって初めて動けることだから。 
サウジアラビアが仲介」の意味合いは大きい。 
 
アメリカは常に途上国において、自国の利益(覇権確立)のためのみにクーデターや内戦を引き起こして来ている。種々利益や色々な思惑が絡み、米軍も簡単には撤兵は出来ないだろうが、今までの例から見れば各地(国)の内戦からは平均10年で手を引いている。それ等から見れば、7年が終ったアフガンへの侵攻から引き上げに向かって政策が少しは変わって行くのか???

昨夜は「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を読み終わった。アメリカがソ連と戦うムジャヒディーンに対し如何に膨大な武器を流し込んだか。殺戮技術だけではなく、通信技術等を含め、如何にアフガン人を武装勢力として教育したかが実に興味深い。そしてアメリカとパキスタンの利害が、当時、如何に複雑に絡み合っていたかも…。