「テロ対策特別措置法」の虚しさ

小池防衛相が明21日から5日間の日程で印パを訪問する。当地ではムシャラフ大統領を表敬。インド洋上ではアメリカへの給油ついでに、パキスタンの艦艇にも給油の支援をしているからと、テロ対策特別措置法の延長について意見交換をするとの報道。

海上自衛隊による「テロ掃討作戦」の後方支援では、これまでに215億円を投入と報道されている。「テロ掃討作戦」では、掃討にあたる米軍を中心とする戦闘に連動し、テロ関連物資を海上で阻止するとしているが、215億円の他にはイージス艦を整備したり維持したりする年間1000億円以上の経費がかかっているのは言うまでもないのだろう…
ただ、オバハンは5年間あまも、海自が海上補給の任務についているのはカラチ港の沖であるアラビア海だとばかり思っていた… そうか、インド洋上だったのか…知らんかった…。

片や日本の海上自衛隊は、来月にインド洋で米国とインドの合同海上訓練に参加するというではないか…  インドが今後、日本の大きなビジネス・マーケットとなるのは間違いがない、その将来性を見込んで日本政府はインドへ4000億円の借款、また22日には安部首相自らがインドを訪問。
日本のインドへの急速接近は将来を睨めば解る気はするが、パキスタンにとっては歯噛みしたくなるような気分だろうなぁ… にこやかな澄まし顔がお得意の小池防衛相だが、ムシャラフパキスタン)の内心の不快さは想像に余りある。

アフガンがパキスタンに持つ被害妄想観念と同じように、パキスタンは常に隣国の大インドに対するコンプレックスと、インドから侵略されるのではないかという強迫観念を拭い去ることが出来ない。イスラーム教徒がヒンズー教徒から圧迫され虐げられているとの思いも強い。

そうしたインドに対する思いが常日頃からある中で、欧米日諸国の訪印では、インドに4日滞在したならばパキスタンには1日滞在という取り扱い、パキスタンは常にインドの5分の1程度の扱いしか受けられないと、ひがみ根性、被害妄想度が高まるのかも。
このパキスタンに対する5分の1扱いは、インドの軍事力(パキスタンの5倍)に相当しているのかな?

とにかく悲しいことに、インドとパキスタンは常に「印パ」という一くくりにされるところに、気分的な不幸もあるようだ。もともとが1つの国であったが故に仕方がないとは言え、印パという一くくりの、そしてインドの5分の1程度の扱いしか受けられないパキスタンのコンプレックス、悲しみは深いのではないか? そして今回、安部首相はパキスタンに来ず、小池防衛相のみが訪パ。

小池防衛相はムシャラフ大統領と「テロ対策特別措置法」の延長について意見交換するというが、911同時多発テロ以降の「テロ撲滅、テロ掃討」とするアメリカのお題目の虚しさ、かえって世界中でテロが増えた事実は謙虚に受け止めるべきだろう。

この間、民主党は一貫して「テロ対策特別措置法」の延長を反対という。国民の血税を垂れ流すだけの「法案」は延長不要だ。頑張って欲しい…