自爆テロと拉致

アフガニスターンの首都カーブルから車で南に2時間ばかり、ガズニ州で18人(23人)の韓国人がタリバーンに拉致されたとの報道。聞くところによれば韓国人たちは護衛もつけず、また政府へも首都圏外へ出る旨の届出をしていなかったとか。ガズニ州知事は「護衛もつけずに走っている韓国人グループが悪い」と言い切っている。
韓国人に対しては、一昨年から「拉致予告」が出ていた。外見が韓国人に似ているオバハンたち日本人は、車での移動を一切やめていたし、パジェロランクルなど支援団体の外国人たちが使用する車種にも、乗らないように、そしてチャドルを深く被り顔も出さないようにと気遣って来た。

タリバーン政権が崩壊後の2002~2004年前半くらいまでは、国民が新しいアフガニスターンに期待、治安がまぁまぁ落ち着いて国内を走り廻れたものだが、その後は徐々に悪化。
アフガニスターンの事情を知れば知るほど、気軽に陸路などは走れなくなっている。
特に一昨年くらいからは、軍人や警官による車上荒らしも横行、陸路移動などは控えなければならなくなっていた。政府は偽軍人、偽警官の仕業だとしているが、中には政府から派遣された護衛の兵士が銃を向け、僅かな金品を欲しがる例にもオバハンたちは直面している。
護衛があったとしても、時と場合によっては危険が伴うアフガニスターンを見たいと若者から相談を受けるが、「どうしても必要な仕事以外には行くのを止めなさい」と、アドヴァイスするのが通例になっている。
若者に限らず、一過性のNGO活動もしかりだと思っている。
事故に遭ってしまえば活動は頓挫、そして周辺にかける迷惑は本人たちの考えている以上になると思う。


「自殺したイスラーム教徒は天国へ行けない」と、コーランには書いてある。
しかし、911同時多発テロ犯たちがツインタワーへ突っ込んだ行為を、エジプトだったかの宗教裁判所が「是」として以来、自爆テロが世界に蔓延し出した。
数年前までパキスタンには「自爆テロ」なる行為は皆無。極く、たま~~に自爆テロがあったと聞くと、「パキスタン人の行為ではない」と断定したものだが、911同時多発テロ以降、テロの歴史も変わったようだ・・・。
金品目当ての営利誘拐とは異なる、「拉致=政府に対する何んらかの要求」という手法も、第二次湾岸戦争以降のイラクから、たちまち世界の各地へ波及しだした。
どちらも国際テロ組織アルカイダが世界に広めている戦略だ。そして10年前には一般的ではなかったインターネットが、それらののテロ行為を後押ししている。

ラール・マスジッド事件以降、パキスタンの北西辺境州を中心に吹き荒れている自爆テロだが。不思議なことに最高裁長官の復帰が決まった昨日は、自爆テロがなかった。
ムシャラフ大統領は、その偶然をどんな思いで見ているのかな?