上部フンザに出現した湖

日本から帰って来た直後に、大使館から北方地域についての問い合わせがあった。そろそろ登山隊やトレッキング隊も入って来る折柄、北方地域での各種情勢は大使館も気にすべき事柄なんだろう。 
最近の大きな出来事としては、桃源郷フンザの上部で大きな地滑りがあり、比較的簡単に修復出来そうだったにもかかわらず、未だに修復不可のみならず、土砂によって堰き止められた湖の出現によって、危険度が増しているということか。 問題は最酷暑の6月末、暑さで氷河などの融水が急激に増し、それによって湖が決壊した時だ… 
現在のところ湖の長さは約20km近くで、水深は60mにも及ぶと。それこそ100年に1回くらいの割合で、これらの湖は地滑りによって出現し、崩壊によって周辺の村々に甚大なる被害をもたらして来た。先般からは政府の避難勧告も出て、34村の4万人がギルギットの親戚などへ身を寄せたと。
母子センターの教員たちからも、「避難の村人たちのために何かをしてあげたい」との声も出始めた。

久々に見た新聞では、大きくもない平船にトラックまで載せて運んでいる。平船の真ん中、胴体部分にトラックがギリギリで載っているのには驚くと共にオバハンの危機感を煽った。オバハンの単純な危機感は…クンジェラブ峠4700mを越えて入って来る「米」が手に入らなくなることだ。数日前、とりあえず備蓄用にと、余分には買って来た……が。

パキスタンと中国を結ぶカラコラム・ハイウェイでは、道路公団が迂回路を建設すべく頑張っている。しかし山岳地帯での難工事、完成は何時になるのか。 燃料や食料も平船では運ぶにも限界があり、さらには最酷暑の6月末、湖の決壊が案じられるので、日パ旅行社としては登山やトレッキングの方々へは、フンザ地区からスカルドゥ地区などへと、行き先の変更をお勧めしている。