銀杏並木

若い頃は超せっかちで、何にでも直ぐの結果を求めてカリカリしながら他人の2倍は動いたオバハンだが… 何事もなかなか上手くは行かない神の御心のままに暮らすイスラームの国、パキスタンでの生活が30数年ともなると、自分でも信じられないくらいに「待つこと」に苦痛を感じなくなった。 これ等の生活が進歩なのか後退なのかは、さて置き、スローライフに快適さと一抹の誇り?を感じるようになったから我ながら不思議だ。

日本からパキスタンへ持って来た柿や銀杏(ギンナン)の種。タイからも持って来た(楊貴妃が好きだったという)ライチやポメラー(ザボンより美味しい大きな柑橘)を種から育て、果樹園や銀杏並木にしようなどという気の長い話、昔なら考えられもしなかった。 アフガニスタン産の赤ん坊の頭ほどもある立派な柘榴、これは実から苗を作りオバハンの田舎である滋賀県で何本もが成長しつつある。はやく朱鷺色の艶やかな花を見せて欲しいものだ。あわよくば…赤ん坊の頭ほどもある大きな実も…

いずれも乾燥地のアフガニスタンで植樹などをし、苗活着の厳しさを知ったから、苗を育てることの愛おしさを余計に感じるのかもしれない。 大昔は種を蒔き、芽が出ないと土をほじくって種の状態を見、芽が出たら早く伸びろと芽を引っ張った自分自身はなんだったのか。

母子センターの高塀に沿って銀杏並木が出来れば、どんなにきれいだろう! 日本のように「落ち葉の始末を!」と近所から怒られることもないパキスタン。 当地の人は硬くてパリッとした甘柿を知らない、パリッとした甘柿を食べさせたらどんなに驚くだろう!(当地で柿はジャパニーズ・フルーツと呼ばれ、柔らかく熟々のものを食べる) 庭の片隅に植えれば10mにも伸びる八升豆、厳しい日差しを遮り食用にも良いとなれば、どんどん広げて行きたいものだ等、考えて実行に移していると夢はふくらみ飽きない。