ギルギットでの算数教室

長い長い蒸し暑かったモンスーンの後、9月半ばから3週間ばかりは乾いて最高の快晴だった。しかし、それも未明の時雨連続2日間で一気に気温が下がり、本格的な秋だ。 数年前のパキスタン地震10月8日:(死者8万6000人、被災者400万人、崩壊した家40万戸)の後も平野部では時雨が続きカシミールの山間では氷雨、支援活動に奮闘したオバハンたちでさえも凍えそうだったのを思い出したわ。
 
パキスタンの貧困度は、一昨年の大洪水:被災者2000万人と、年々酷くなる停電続きで工場が稼働せず失業者が大幅に増えたり等、以前に比べると貧しさに拍車がかかっている。 2005年くらいだったかのUNICEF調査では1日1$以下で暮らすパキスタン国民が50%になったとあり、「あぁ、少しは貧困度がマシになっている!」と、オバハンを喜ばせたものだったが…… 今年は天候不順で農作物もダメ、おまけに原油の取れないパキスタンでは燃料が生活水準に比べると高く、輸送費がかかり諸色は値上がるばかりだ。
当然、家でまともに食べられる人は減って、オバハンの事務所でも朝昼夕食を極力、摂ろうとするスタッフが増え毎食20数人分を用意する。 仕事のない地方では更に生活は厳しいことだろう。 だから(オバハンの皮膚感覚によると)パキスタンでは1日1$以下で暮らす国民が50%をウンと超えたのではないかと想えるのだが。
ここ数年のパキスタンは本当に神の御恵みから遠い。

前置きが気が長くなったが… オバハンの主唱するギルギットの母子センターNWAでは子供たちに、公文式に似た「NWA方式」の算数教室を開いて4年くらいになる。 貧しい家では両親ともに食べるだけに必死で、大概が(両親ともに) 読み書きも出来ない。パキスタンの学校では毎年進級試験があり、貧しい家の子供たちの多くは3,4年生の算数で落ちこぼれる。5年間の義務教育でさえ満足に受けられない子供たちは、口減らしのために衣食住が無料の神学校へ送られ、そこでコーランを暗誦するだけとなり、普通教育の機会から遠ざかる。
1人でも(算数による)落ちこぼれを無くし、狭義で偏ったイスラーム原理主義的な思想から子供たちを遠ざけ、武装勢力などに身を投じないようにするという三段論法的な「算数教室」だったが、地域での評判は良い。 NWAのセンターで学ぶ子、約200人余が成績優秀者表彰の式典に参加、また自主的に熱心な母親たちも10数人が参加、賞品授与(カバン 筆箱など等)を盛大な拍手と共に見守ってくれました。 センターへ通って来られない子供たちには近隣の村8か所に算数教室(一部縫製教室併設)があり、そこでの表彰式は順次おこなって行く予定。
http://npo-nwa.at.webry.info/(ギルギットの夜明け)